かんとこうブログ
2024.04.12
燃焼してもCO2が増加しないe-methaneとは?
このごろテレビのコマーシャルでe-methaneという言葉を聞くようになりました。e-methane とは、再生エネルギーで水を電気分解して得た水素と、燃焼で生じるCO2を反応させて作り出すメタンガスのことで、既存の天然ガスの配管や燃焼装置がそのまま使用できることから、ガス会社が実用化を進めているものです。(下図:下記URK参照)今日は、メタネーションと呼ばれるこの技術と東京ガスや大阪ガスなどが進めているプロジェクトについてご紹介します。
https://www.tokyo-gas.co.jp/letter/2023/20230927.html
簡単に言えば、化石資源である天然ガスを燃焼させて発生するCO2を原料とする燃焼用ガスということです。2050年のカーボンニュートラルに向けて頼もしい技術ではありますが、まだ導入段階であり社会実験として実施予定の2030年においても天然ガス使用量の1%程度を見込んでいる(下図)程度の量ので、まだまだ乗り越えなければならない壁は高くあります。
現在この社会実験にむけていろいろなプロジェクトが動き始めており、そのひとつにアメリカのキャメロンLNG基地を利用したプロジェクトがあります。(下図;下記URL参照)
https://www.tokyo-gas.co.jp/news/press/20221129-01.html
東京ガス、大阪ガス、東邦ガスのガス会社3社と三菱商事などが組んだ合弁事業で、再エネで作った水素と回収したCO2をアメリカのキャメロンLNG基地でメタン化➡液化し、日本へ輸送して既存の都市ガスインフラを活用して利用する計画です。このキャメロンLNG基地は、再エネの利便性が高く、地域内にCO2や水素のパイプラインが発達していることに加え、液化輸送が至便であることなどが選定の理由となっています。
こうした海外でのメタネーションによるe-methaneの製造は、南米、豪州、中東、東南アジアでも検討されているようです。また大阪ガスでは、海外で製造したグリーンな水素を、メチルシクロヘキサン(MCH)として効率的に輸送し、国内で回収したCO2と反応させるメタネーション工場を計画しています。(下図;下記URL参照)
https://www.osakagas.co.jp/company/press/pr2023/1766167_54087.html
ところで、このメタネーションの反応はサバティエ反応と呼ばれ、ニッケルを触媒とし高温高圧条件でメタンと水が生成します。既存技術ではエネルギー変換効率が55~60%程度であるため、さらに高効率での変換を目指して研究が進められています。(下図参照:第29回水素・燃料電池戦略協議会 2023/3/24 「東京ガスのカーボンニュートラルに向けた取り組み-低コスト水素製造技術開発、e-methane社会実装」より;下記URL)
果たしてこうした革新的技術が期待通りに実用化されるかどうかは未確定でもあり。水素にしろe-methaneにしろ海外から運んでくる際に排出されるCO2はどう考えるのかという点もありますが、2050年に向けては必須の技術であろうことは想像がつきます。ぜひとも成功してもらいたいものです。