かんとこうブログ
2024.04.17
なかなか下がる気配はありません・・確報に見る塗料原材料価格
経産省確報(生産動態統計調査)では、主要工業製品の出荷数量と出荷金額が調査されています。塗料の原材料もざっと見て20種類以上調査の対象となっています。そこで例月、数量と金額から単価を計算し、その動向をご紹介しています。今月も同様にご紹介していきます。最初は塗料用樹脂の原料です。
赤丸は先月から上昇、緑丸は先月から下降を示しています。金額は当月の単価(円/Kg)と( )は先月からの増減です。比較的大きな変動(価格の+/-3%以上)は、スチレンモノマーとビスフェノールA、エピクロルヒドリンでした。これらについては後で数量と金額の推移もご紹介します。次は有機溶剤です。
値動きが大きかったのはキシレン、MIBK(メチルイソブチルケトン)でした。続いて顔料です。
顔料の中で値動きが大きかったのは、酸化第二鉄、アゾ顔料、フタロシアニン顔料でした。最後は(塗料用)合成樹脂です。
樹脂の中で値動きの大きかったのはメラミン樹脂、エポキシ樹脂でした。
値動きの大きかった原材料について、出荷数量と出荷金額の推移を調べてみました。以下にご紹介します。最初は先月から3%以上下がったものです。5品目ありました。
ビスフェノールAとエピクロルヒドリンはともにエポキシ樹脂の原料として使用されますが、いずれも出荷数量、金額ともに減少傾向にあります。数量と金額が同じような勾配で減少してきていますので、単価としてはさほど大きくは動いていないはずです。これに対し、キシレンの場合は数量と金額が明らかに乖離しており、金額のみが上昇する形ですので、当然単価は急上昇をしてきました。原油~ナフサの価格高騰の影響を直接受けています。
酸化第二鉄もやや金額と単価が乖離していますので、単価の上昇の仕方が急激です。アゾ顔料は基本的に数量と金額の乖離が見られず、かつ全体的に増減がありませんので、単価は比較的安定しているはずです。
次に3%以上値上がりをした品目の数量と金額の推移を見てみます。
先ほどと同様注目すべき点は数量と金額が乖離しているかどうかです。乖離が顕著であるのは、まずトルエン、スチレンモノマー、エポキシ樹脂、メラミン樹脂で、必然的に単価の上昇も大幅になります。MIBKとフタロシアニンは数量と金額がほぼ連動していますので、単価の上がり方は小幅になるはずです。
いずれの場合も毎月単価は変動しますので、それぞれの変動の理由まではわかりませんが、こうして数量と金額を同じグラフに描けば(縦軸の調整は必要ですが)おおよその単価推移の背景は理解できます。
最後に、単価指数(2021年1月=100)を低い方から順に並べてみました。当月の単価指数の単純平均は143.7でした。これは塗料製品の単価指数の単純平均を大きく上回るものです。先月からはわずかに下がりましたが、多くの品目の単価の推移を見る限り、この先簡単に下がりそうには見えません。