かんとこうブログ
2024.05.22
世界のTOP4塗料メーカーの2024年第1四半期決算
うっかりしていましたが、海外塗料メーカーはすでに第1四半期の決算発表を日本の会社よりも早く発表していました。いつもより遅くなりましたが世界のトップメーカーの決算概要をご紹介したいと思います。
売上順にSherwin Willamsからご紹介します。今回少し異変がありました。盤石を誇っていたペイントストアグループが、減益となったのです。北米3000店を誇る直営店部門ですが、新築住宅の軟調と投資の負荷の影響で微増収減益となってしまいました。対売上営業利益率でも1.2ポイント下がりました。全体でも減収となりましたが、しっかり増益でしたので、首位の座は揺るぎそうもありません。旧Valsperの機能性塗料グループは微減収ながらしっかり増益しています。下図右は、2024年第1四半期の需要状況です。
続いてPPGです。PPGも微減収増益となりました。汎用(Performance Coating)部門も工業用部門もそれぞれ微減収増益でした。このままですと単純な売上比較では、Sherwin Williamsの後塵を拝しそうですが、あとはCoatings World誌がSherwin Williamsの塗装用具売上をどう査定するかにかかっています。
下図右は、2024年第1、2四半期の需要状況で、第1四半期から第2四半期にかけて全体的に市況が改善傾向にあることがわかります。
3番手はAkzoNobelです。AkzoNobelは全体として減収大幅増益となりました。以前として為替の影響を強く受けており、為替のマイナスがなければ増収だったと思われます。同社はいつも興味深いグラフを出してくれますが、今回は四半期毎の価格と数量の四半期毎の前年比のグラフがありました。この前年比を四半期毎に簡易変換して累積してみました。
概略ですが、2020年の第1四半期を100とした指数が得られます。数量はこの4年で約5%減、価格は約30%アップ、価格と数量を掛けた数値は22%アップとなりました。日本の経産省確報のデータよりは価格上昇率は高いようです。
さて今回はここに日本ペイントを加えたいと思います。円安のご時勢ですが第1四半期の数字を見るともうAkzoNobelに比肩するところまで来ているように思います。比較するには通貨を合わせる必要がありますが、今回は日本ペイントホールディングスの決算報告に書かれていた2024年の通年見通しの交換レートを使用しました。
それぞれを単純に4倍すれば、年間売上は、Sherwin Willamsは約3兆円、PPGは2兆6000億円、AkzoNobelは1兆6000億円となります。日本ペイントホールディングスも目標を1兆6000億円としていますので、文字どおり比肩している状態です。営業利益についても日本ペイントホールディングス、AkzoNobelの両社は、EBITDAやEBITではなく営業利益で比較して、拮抗した数字ですのでほぼ同じレベルと言えます。今年の1位と2位、3位と4位の争いは激しくなりそうです。