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かんとこうブログ

2024.07.18

塗料用原料の出荷量はこの40ケ月減り続けている!?

昨日のブログを書いているときに、とても気になったことがありました。それはブログで取り上げているすべての塗料原材料の出荷数量が2021年以降減少し続けていることです。塗料の出荷数量がコロナ禍以降一貫して減少傾向にあることはすでに何回かお知らせしているところですが、当ブログで調べている原材料のすべてが塗料に使用されるわけではありません。それどころか、塗料用途はほんの一部にすぎないのかもしれません。であるにも拘わらず、すべての原材料の出荷数量が減少傾向であるということは、日本の産業、すくなくとも化学分野の製造業の生産量が減少傾向にあるということになるのではないでしょうか? 塗料の出荷金額はコロナ禍の落ち込みから立ち直り、コロナ禍以前に復帰したところです。化学産業全体でも、出荷金額はコロナ禍前に戻っています。がしかし、数量では減少しているとすれば、それは少々問題があるのではないかと思います。ということで、なにはともあれ、実際の出荷数量と出荷金額の推移をご覧ください。

数量、金額ともそれぞれ1次近似式をつけておきました。傾きがプラスであれば増加傾向、マイナスであれば減少傾向とすることにします。最初は樹脂原料の6品目です。

スチレンモノマー、エチレングリコール、ビスフェノールA、,エピクロルヒドリンの数量はかなりの減少傾向であり、このうち、エチレングリコール、ビスフェノールA、,エピクロルヒドリンは金額もかなりの減少傾向となっています。スチレンモノマーの金額はかろうじてプラスです、メタクリル酸エステル、アクリル酸エステルの数量はややマイナス傾向であり、金額ではほぼ横ばいながら、メタクリル酸エステルがわずかにマイナス、アクリル酸エステルがわずかにプラスでした。次に有機溶剤です。

トルエン、キシレン、エチレングリコールモノエチルエーテル、イソプロピルアルコールについては数量が減少傾向、金額が増加傾向です。合成ブタノールとメチルイソブチルケトンの数量はほぼ横ばいに見えますが、近似式の傾きは合成ブタノールがわずかにプラス、メチルイソブチルケトンがわずかにプラスでした。合成ブタノールはわずかに数量プラス傾向であり、全23品目中ただひとつの数量プラス傾向品目でした。

次は顔料です。

酸化亜鉛と酸化第二鉄は数量も金額もマイナス、酸化チタンとカーボンブラックは数量はマイナスで金額がプラスでした。アゾ顔料とフタロシアニン顔料は見たところ横ばいのようにも見えますが、近似式の傾きは、アゾ顔料が数量、金額ともわずかのマイナス、フタロシアニン顔料が数量マイナス、金額はプラスでした。

最後は樹脂です。

石油樹脂、メラミン樹脂、アルキド樹脂は見ての通り、数量はマイナス、金額はプラスでした。つまり単価上昇が激しい品目です。エポキシ樹脂は数量マイナスで金額も実は微減でした。メタクリル樹脂も横ばいのように見えますが、数量マイナスで金額はプラスでした。

以上おおまかに塗料原材料の出荷数量と金額の推移を座標で示すと以下のようになります。「数量は減っているけれども金額が増えているもの」が23品目中14品目ありました。「数量は減っているけれども金額が増えているもの」は単価が必然的に上がっているはずです。昨日ご紹介した指数値の大きなものはエチレングリコールを除きすべてここに分類されています。エチレングリコールは、数量の減少が著しく、単価の上昇があっても金額が増加とならなかったようです。

いすれにせよ、原材料の出荷数量が減少傾向にあるということは、日本経済の先行きも含め心配な要素です。

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