かんとこうブログ
2024.08.08
7月の電力消費は昨年なみ・・実は昨年7月も暑かった!
昨日、今年の7月はとてつもなく暑かったと書きました。さぞかし電力消費量も多かったであろうと調べてみたところ、実は昨年並みであったことが判りました。なぜか?ということも含め以下にご紹介していきたいと思います。電力実績と言っても全国ではなく、調べたのは東京電力分だけですので、関東地区限定としてご覧ください。
最初に東京電力のでんき予報サイトから、7月の毎日のピーク時消費実績電力とピーク時供給電力の推移を2020年から2023年までのデータとともに示します。
この図からは、ピーク時の消費電力も供給電力も過去4年の7月と比べて高めではあるものの、各段に髙いというわけではなさそうだとわかります。比較するため平均値を計算すると以下のようになりました。
なんと今年の7月のピーク時消費電力(使用実勢)の平均値は、確かに過去4年の7月の平均を上回ってはいますが、さほどでもありません。またピーク時供給電力(供給実勢)の平均値は、昨年、一昨年を若干下回っています。これはどういうことなのでしょうか?
そこで東京の気温を調べてみました。昨日調べたデータも使い過去4年も含めて7月の平均、最高、最低気温の推移を示します。(広い関東地区を東京のデータ1か所で代表するのか?というご批判は甘んじて受けます。)
このグラフを見ても今年の7月の気温が特別に高かったわけではなさそうだと思われます。では月の平均値ではどうなるのでしょうか?
数字が小さくなって読みにくくなりましたが、この5年ほど、特に昨年と比較するとむしろ最高気温の平均値は昨年の方が高い結果となりました。昨日は平年値と比べ今年は最高気温が3℃以上高かったとご紹介しました。となると、今年だけが気温が異常に高かったのではなく、この2-3年はとても高かったというのが正しいようです。
参考までに気温とピーク時使用電力の散布図(横軸平均気温、縦軸ピーク時消費電力)を描いてみました。日毎平均気温が28℃を超える(図中の黄色いエリア)日数が2020年、2021年に比べて2022年以降急激に増えていることが判ります。そしてそれに従いピーク消費電力も4500万KWを超えるようになることも明らかです。近似式を書かせてみると、1℃上がるごとに増加するピーク時消費電力量が大きくなっていることもわかります。
これは、「もはや暑い日にはエアコンなしの生活にはリスクが伴い、エアコンの使用をためらわないように」との意識が徹底されてきたのではないかと想像しています。
ピーク時の電力使用量は年々増加しているものの、ピーク時の供給量は逆にわずかではありますが減少しています。これは、ピーク時の電力供給マネージメント技術が向上しているのではないかと勝手に想像しています。
この今年も含めた5年間については、平均気温とピーク時使用電力量の7月の平均値については以下のようになります。
青い縦棒がピーク時消費電力、ピンク色に折れ線が日毎平均気温、ピンクの横点線が平均気温の平年値です。ここ5年間の平均気温を見ると2020年は平年値よりも低く、2021年が平年値並み、2022年から2024は平年値と大きく上回っており、ピーク電力使用量も概ねこの平均気温に沿っています。
2021年、2022年には声高に節電要請がなされていましたが、このごろはあまり耳にしなくなりました。それだけピーク時電力消費への対応力は高まったのでしょうか?ともあれ、気温がこのまま年々上がり続けることがないように祈ります。