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かんとこうブログ

2024.08.15

北口選手のカステラとパラチノース

パリオリンピックの陸上女子やり投げで金メダルを獲得した北口榛花選手が、競技の合間に食べていたカステラが話題になりました。そのカステラは、千鶏カステラ本舗の「スポーツカステラ」ではないかという情報があり、調べてみましたのでご紹介します。

この「スポーツカステラ」は、通常の砂糖の代わりに体内への吸収速度の緩やかな「パラチノース」を使用し、スポーツシーンで長続きするエネルギー源となるよう開発したとの説明がありました。(下図)

ここで使用された「パラチノース」は天然のものではなく、三井製糖が量産化に成功した人工品です。どのようにして量産するかはあとで説明するとして、この「パラチノース」の効能について説明したいと思います。三井製糖が展開するスポーツ向けのサイト(下記URL)から引用してご紹介します。

https://www.palatinose.jp/purepala/

    

スバリと簡単に言えば「普通の砂糖よりも吸収が遅いこと」です。下図のように、「パラチノース」は時間をかけて吸収されるのです。

このサイトにはいろいろなスポーツ向けに「パラチノース」の使い方が推奨されていました。残念ながらやり投げは載っていませんでしたが、いずれも長時間にわたる競技むけに推奨されているようです。

なぜ「パラチノース」が普通の砂糖よりもゆっくりと吸収されるのかについては、下図の説明が見つかりました。

この説明によると普通の砂糖は小腸の入り口部分で素早く吸収されるが、「パラチノース」は小腸全体で時間をかけて吸収するため、吸収がゆっくりとなるということでした。とりあえずそういうことにしておきます。

この「パラチノース」については、「スローカロリーラボ」(下記URL)というサイトで詳しくその性質や機能が紹介されていました。

https://www.slowcalorie.com/slowcalorie-labo/

    

このサイトの説明の中に下図のようなデータがありました。

   

  

この説明によれば、「パラチノース」の分解速度が、普通の砂糖(スクロース)の五分の一程度であるとのことでした。さきほど小腸での吸収の話がありましたが、そうなる理由は分解速度が遅いことに由来します。さらに「パラチノース」を併用すると一緒に含まれている通常の砂糖の分解速度まで遅くなるという好ましい性質がありますので、一部に使用するだけで糖全体の吸収を遅らせることができるようになるとのことです。

   

「パラチノース」の効能はこれだけではありません。集中力を高める(記憶力向上)、血糖値の平準化(急激な血糖値上昇を抑制)、インスリンの分泌の効率化(過剰な分泌を抑制)、脂肪酸蓄積ホルモンを抑制(脂肪蓄積を抑制)、運動中の脂肪酸濃度を高める(脂肪酸燃焼促進)などの効果が医学的に実証されているそうです。なんとも優れもののようです。

   

さて紹介が最後になりましたが、「パラチノース」の構造と製法を示します。普通の砂糖(スクロース)とはわずかにグルコシド結合を形成する位置が異なるだけですが、これが分解において大きな違いとなることは、でんぷん(αーグルコシド結合)とセルロース(βーグルコシド結合)の消化の違い(でんぷんは消化できるが、セルロースは消化できない)を見れば理解できると思います。

  

   

製法としては、天然の砂糖に酵素を作用させると簡単に書いていますが、実はすごい技術であろうことは想像に難くありません。この「パラチノース」入りの「スポーツカステラ」が北口選手の金メダルにどれほど貢献したかは不明ですが、効能を見る限りもし砂糖のオリンピックがあったならば金メダル級の優れものであることは間違いないようです。

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