かんとこうブログ
2024.08.20
経産省確報から計算した塗料原料価格動向10:13
昨日の塗料単価に引き続き、塗料原料単価を6月度の経産省確報(工業動態統計調査)からご紹介したいと思います。継続調査している23品目のうち前月からの値上がり品目が10、値下がり品目が13でした。
最初は樹脂原料です。2021年1月=100とした指数の推移をグラフにしています。図中の数字は6月の単価(円/Kg)で( )内は前月からの変動です。
6月度は6品中5品が値上がりしていました。続いて有機溶剤です。
今度は先ほどとは逆で、有機溶剤は全て値下がりでした。続いて顔料です。
酸化亜鉛とフタロシアニン顔料が値上がりですが、フタロシアニン顔料は、このところ乱高下しており、次第に値下がり傾向の中で収束していくように見えます。ただし、需給関係において特殊な要因が存在しているかもしれません。いずれにしてもダイナミックの乱高下です。最後は塗料用樹脂です。
5品目中3品目が値上がりしましたが、特にエポキシ樹脂の価格が大きく上昇しました。
以上が6月度の原材料単価動向ですが、全体的に眺めると、右上がりの線を描いているものがほとんどであるように思われます。
価格が先月から5%以上変動したものの出荷数量と金額の推移を下図に示します。
ビスフェノールAのように数量と金額が連動して変化する場合には基本的に単価は変動しません。仮に単価が変動したとしても長期的には大きな変動はないはずです。一方、エポキシ樹脂のように、数量と金額が乖離して、金額が上昇し、数量が下降する場合は最悪のパターンで、価格はどんどん上昇していくと見なければなりません。メタクリル酸エステルとフタロシアニンも若干数量と金額が乖離しつつあるようにも見え、先行きが心配されます。
一方値下がりした原料の数量と金額の推移はどうなのでしょうか?
合成ブタノールは推移もほぼ水平移動であり、数量と金額の乖離もないようですが、エチレングリコールモノエチルエーテルと酸化第二鉄は数量と金額が乖離しており、間違いなく価格上昇傾向にあります。一時的には価格が下がっても長期的には上昇するものとみておく必要があるのではないかと思います。
なお、上で示したグラフは数量と金額の相対的な変動幅が比較できるよう第1軸と第2軸を調整して作成しています。両軸ともゼロから始めること、そして左端の出発点において数量と金額がほぼ同じ地点にプロットしておくよう軸の目盛りを調整することが必要でです。
最後に23品目の原料を指数値の順にならべたグラフを示して終わりたいと思います。最も低いのが合成ブタノール、最も高いがトルエン、キシレンでした。指数値の単純平均は153.0です。つまり単純化して言えば2021年1月から原料価格が1.5倍になっているということになります。