かんとこうブログ

陸上競技に関する記事は原則土曜日に掲載しておりましたが、今回諸事情により平日に掲載させてもらいます。8月1日から10日まで開催されたパリオリンピックの陸上競技に出場した日本選手の成績についてレビューしたいと思います。

全体の入賞者（メダル+4位～8位）数は戦後の最多となる11（うちメダル1）でした。下表をご覧ください。戦前となると1932年のベルリン大会の16（うちメダル7）というのがありますが、当時と今では参加国数も競技人口も記録のレベルも比べようがないほど違いますので、今回の戦後最多入賞というのは価値あることだと評価しています。

メダル、4-８位入賞ともマラソンと競歩の内訳を書いておきました。それほどアテネ大会までのマラソンと北京大会以降の競歩は、日本の陸上界にとって世界と十分に競い合うことができる種目でした。今回はマラソン2、競歩3とそれぞれが複数入賞を果たした一方で、マラソン競歩以外の入賞が５あり、これももちろん戦後最多です。

因みに世界選手権のメダルと入賞者については下表のようになり、こちらも昨年のブダペスト大会の11（うちメダル2）が最多となっており、オリンピック同様このところ入賞者が増加傾向にあります。

個々の選手の成績を大会直前のランキングと共に示します。結果の欄が今大会の成績で、その選手が進出できた最上位のレースにおける順番を書いています。（準決勝に進めなかった場合には予選全体における順位を、準決勝には進んだが決勝に進めなかった場合には準決勝全体における成績を記入しています。）

またRKはパリオリンピック用のランキング、RK2は6月30日現在の通常の世界ランキングの順位です。（RKがベスト記録による順位、RK2が複数の記録にもとづくより総合的な順位です）男子からご覧ください。

個人的によく頑張ったと思える選手を上げていきたいと思います。まず100メートルのサニブラウン選手、準決勝での自己ベスト更新は見事でした。110Mハードルの村竹選手、5位入賞はとにかく立派で、泉谷選手とともにもっと上を目指してほしいと思います。走り高跳びの赤松選手、予選、決勝とも見事な跳躍でした。やり投げのディーン選手、シーズンベストは立派でした。マラソンの赤崎選手、全くの予想外、大健闘、称賛の言葉がないほどです。20Kｍ競歩の池田選手、古賀選手、よくぞ複数入賞してくれました。そして両リレーで走ったすべての選手達、正直なところ予選落ちも十分あると思っていましたが、よくぞ入賞してくれました。大健闘です。ただし、両方ともメダルを狙うには力不足、もっと上を目指してほしいと思います。

続いて女子です。

女子では何と言ってもやり投げの北口選手、ランキング1位で決勝の1投目のビッグスローで優勝を決めた文字通りの横綱相撲でした。続いてマラソンの鈴木選手、男子の赤崎選手同様全くの予想外の大健闘、不明を恥じお詫びします。入賞はできませんでしたが、やり投げの上田選手の決勝進出は立派です。全般には期待外れと思われているかもしれませんが、田中希美選手の1500メートル、アクシデントがあったあとの準決勝3分台には敬意を表したいと思います。

男女混合種目として今回の初めて行われた男女混合競歩リレーの川田、岡田両選手もよく最後まで持ちこたえて入賞にこぎつけました。立派だったと思います。

さて最後に総括として、選手全体のランキングと結果の散布図をご紹介します。意外な面も見えてきます。

入賞者と気になった選手には氏名を入れておきました。マラソンのMGC内定者の小山、赤崎の両選手はその後のレースにはほとんど参加していないため大迫選手も含めランキングが大変低い順位でした。赤崎選手は、そうした完全ノーマークからの入賞だったわけです。赤崎選手は今大会でベスト記録を更新したわけでが、それまでの記録は出場81選手中、74番目とかでいずれにしても大変な快挙です。

赤い点線がランキング＝成績のラインですが、この線より下にプロットされた選手がやや多いかなという気もします。実力を十分発揮できなかった選手には、来年の東京での世界選手権にむけて頑張ってもらえればと思います。

続いて女子です。

女子では上で触れた鈴木、上田、田中希美選手以外に、100MHの福部選手と田中佑美選手の健闘を称えたいと思います。二人とも十分に持てる力を発揮したと思います。女子についてはランキング＝成績の赤線よりも上にプロットされた選手が多く、全般に健闘したのではないかと思います。

来年は東京で世界選手権が開催されます。1991年の東京、2007年の大阪に次ぐ3回目の日本開催ですが、日本選手達が今回のパリ五輪を超える素晴らしい活躍をしてくれることを期待したいと思います。