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かんとこうブログ

2024.09.11

日本の対外純資産は世界一!?

今日は対外純資産の話です。この対外純資産というのは、日本が海外に保有している資産から債務を差し引いたものであり、日本の対外純資産がこのところずっと世界一を続けています。そしてこの対外純資産は日本全体の正味資産(国富)にとって大きな意味があることは昨日書いた通りです。

今日は財務省の資料(下記接続先)から対外純資産についてご紹介したいと思います。

令和5年末現在本邦対外資産負債残高の概要 : 財務省 (mof.go.jp)

   

この資料では令和5年末の日本の対外資産の状況がまとめられています。要約は以下になります。

   

   

対外資産は為替や対外資産の取得超などで15年連続の増加、対外負債は同じく為替や対外資産取得超で5年連続増加、差し引き対外純資産は資産の増加が負債の増加を上回ったため6年連続の増加となりました。

資産と負債の内訳は下表のようになっています。

資産の内訳は、直接投資が20.6%、証券投資が41.5%、その他投資が21.4%、外貨準備が12.3%となっています。一方負債の内訳は、直接投資が5.0%、証券投資が49.7%、その他投資が39.1%となっています。外貨準備が意外に大きな割合を占めているのに驚きました。

経常収支は、その年の対外資産の増加から負債の増加を差し引いたもので、今期末の対外純資産残高=前期末の対外純資産残高+経常収支+評価損益」の関係にあります。すなわち経常収支がプラスであれば対外純資産は基本的に増加になります。ただし、ここ3-4年については、対外純資産の増加に関して為替の影響も無視できません。主要通貨であるドルに対してもユーロに対しても円は大幅に安くなっています。

経常収支はどんな内訳かと言えば、第1次所得収支(対外金融債権、債務から生じる利子や配当の収支)、第二次所得収支(日本と海外との無償援助の収支)、貿易収支、サービス収支などです。下図に経常収支と貿易収支の推移を示します。

経常収支そのもの(左図赤折れ線)はずっとプラスを維持していますが、その内訳は大きく変わっています。すなわち2010年頃まで経常収支をプラスにしていた主力の貿易収支がマイナスに転じるケースがでてきて、それを補うように第1次所得収支が増えてきています。貿易収支がマイナスとなったことは、「稼ぐ力がなくなった」と危惧する声も多く聞かれています。
という状況ではありますが、日本の対外収支は世界一です。ただし、この対外純資産の比較においては、各国の対外純資産を日本円に換算して比較していますので、このところの為替レートが有利に働いている可能性があります。
とりあえず日本円に換算して各国の対外純資産をごらんください。
   
   
貿易で稼ぐ力が弱くなったとしても、投資で稼ぐ力で世界一をキープしているわけです。よく過大と評される外貨準備も対外純資産世界一に一役買っているのは間違いありません。
   
昨日ご紹介したように、日本の正味資産(国富)は、非金融資産と対外純資産の合計になります。対外純資産が世界一であるということは、日本の国富はそれなりに豊かであると考えて良いのではないかとも思います。

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