かんとこうブログ
2024.09.19
経産省確報に見る7月度塗料原材料価格動向
一昨日の塗料単価に引き続き、塗料原料単価を7月度の経産省確報(工業動態統計調査)からご紹介したいと思います。継続調査している23品目のうち前月からの値上がり品目が12、値下がり品目が11でした。
最初は樹脂原料です。2021年1月=100とした指数の推移をグラフにしています。図中の数字は7月の単価(円/Kg)で( )内は前月からの変動です。
7月度は6品中2品が値上がりしていました。価格が5%以上変動したのはビスフェノールA、エピクロルヒドリン(いずれもダウン)でした。続いて有機溶剤です。
先月有機溶剤は全て値下がりしましたが、今月はその反動で6品目中5品目が値上がりしました。このうち5%以上価格が変動したのは、キシレン、エチレングリコールエーテル、メチルイソブチルケトン、合成ブタノール(いずれもアップ)でした。続いて顔料です。
6品目中4品目が値下がりしました。特に酸化第二鉄と酸化チタンは2カ月連続のダウンでした。5%以上価格が変動したのは、酸化第二鉄(ダウン)とアゾ顔料(アップ)でした。最後は塗料用樹脂です。
5品目中3品目が値上がりしましたが、にエポキシ樹脂は2カ月連続の値上がりです。5%以上の価格変動は、石油樹脂(アップ)のみでした。
以上が7月度の原材料単価動向ですが、全体的に眺めると、依然として右上がりの線を描いているものがほとんどであるように思われます。価格が先月から5%以上変動したものの出荷数量と金額の推移を下図に示します。
ざっと見て、キシレンと石油樹脂は数量と金額の乖離が大きく単価上昇が継続していることがわかります。エチレングリコールエーテルやメチルイソブチルケトンも2022年以降数量と金額が乖離傾向にあります。アゾ顔料と合成ブタノールは比較的数量と金額が連動して推移してきましたが、このところやや金額の動きが数量を上回るようになっています。
一方値下がりした原料の数量と金額の推移はどうなのでしょうか?
この中で最も気になるのはビスフェノールAであり、数量金額とも継続的に減少傾向です。供給量が5分の1くらいに減少しているように見えます。供給が減っても単価がさほど変化していないように見えますので、海外品が増えたのかもしれません。エピクロルヒドリン、酸化第二鉄も全体的には数量が減少する中で数量と金額が次第に乖離し単価上昇する中でのたまたまの単価下落と思われます。
なお、上で示したグラフは数量と金額の相対的な変動幅が比較できるよう第1軸と第2軸を調整して作成しています。両軸ともゼロから始めること、そして左端の出発点において数量と金額がほぼ同じ地点にプロットされるよう軸の目盛りを調整することが必要でです。
最後に23品目の原料を指数値の順にならべたグラフを示して終わりたいと思います。今月は最も低いのがエポキシ樹脂、最も高いがトルエン、キシレンでした。指数値の単純平均は154.3です。23品目の価格指数の単純平均は依然上昇中です。