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かんとこうブログ

2024.09.25

規模別生産性の差はどの程度あるのか?

昨日は、「経済構造実態調査」についてご紹介しましたが、今日はこの中から規模別のひとりあたり人件費、製品金額、付加価値金額についてご紹介したいと思います。最初は規模別の事業所数と従業員について2021年と2022年の比較をご覧いただきます。これは調査対象が変化したかどうかを見極める上で重要なことです。

事業者数については2021年と2022年を見比べると同一と言えます。しかし従業員数については少し異なっています。従業員規模が29人以下の場合はほぼ同じですが、30人を超えるところではかなり変動しています。特に300人以上の事業所については、いくら事業所数が2か所から3か所に増えたとは言え、人数が倍になるというのもおかしい気がしますが、全体の人数の増減はほぼ同じですので、調査対象は大きく変化していないとして解析を進めることにします。

さてここから従業員数規模別のひとりあたり人件費、製品出荷額、付加価値額の示します。

空欄がありますが、ここは事情によりデータが公表されていない部分です。全体数からの引き算で計算してみましたが、適切とは思えない数値でしたので空欄のままにしておきました。

ひとりあたり人件費は明らかに従業員規模と関係しており、従業員規模が大きくなるとひとりあたり人件費が高くなります。また2021年と2022年を比較すると30人以上の企業では明らかに2022年の方が高くなっています。

ひとりあたりの製品出荷金額についても、全般的には規模がおおきくなるにつれ一人あたり金額が大きくなる傾向にありますが、2022年のデータには、29人以下のデータがないことと300人以上のデータが事業所数が増えて大幅に金額が減少したこともあり、ほぼ意味をなさないデータになってしまいました。

その代わりと言ってはなんですが付加価値金額のデータはかなりそろっておりますので、ここからやはり従業員規模の影響を強く受けていることがわかります。29人以下の一人あたり付加価値金額は、100人以上金額の半分、あるいは1/3程度しかないことがわかります。

同様なデータを今度は資本金別に見てみました。2022年度のみのデータですがかなり明確に規模別の傾向がでています。

ここまで見てきたところでは、塗料製造業における生産性(ひとりあたりの出荷金額、付加価値金額)は、やはり従業員規模に影響され、規模が小さい場合には大きい場合に比べ、生産性が低くなるということになります。

この点について、他の調査結果も見てみたいと思います。日塗工の塗料製造業実態調査における規模別売上高の数値です。2019年度~2022年度までの4年間のデータがありました。但し規模別区分は50人以下、51人から100人、101人から300人、301人以上となっていますので、産業構造実態調査と比べると少人数企業の区分けが随分と粗くなっています。

この4年間の数値を見る限り、規模別の影響は認められるものの「経済構造実態調査」に比べると、その影響は穏やかなものになっています。この原因としては①日塗工の調査では10人以下というような小規模企業のデータが少ない②日塗工データは会社単位であり、経済構造実態調査のデータは事業所単位である が考えられますが、これは確かめようがありません。

結論として言えば、「経済構造実態調査」からは、従業員規模、資本金規模が生産性に与える影響はかなり強く、日塗工の「塗料製造業実態調査」では、その影響はさほどでもないということになりました。生産数量の減少になかなか歯止めがかからない中、これから業界全体でどのようにして事業を継続、発展させていくか、議論の一助になればよいと考えています。

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