かんとこうブログ
2024.09.27
蜃気楼は蛤のおおあくび?
先週、グリーンフラッシュについてご紹介したところ、色材などでご指導や助言をいただいている元関西ペイントの中畑さんから、次は蜃気楼についての解説を書いてほしいとの要望がありました。いつかは書こうと思っていた題材ではありましたので、今日はこの蜃気楼について調べたことをご紹介します。内容は主にウエザーニュースさんのサイトからの引用です。ウエザーニュースさんは蜃気楼に関する記事を沢山掲載されていました。引用させてもらった写真や図についてはURLを付けておきましたので、お時間があれば参照願います。
まず、下の2枚の写真からご覧ください。
左が「だるま朝日」、右が「浮島」と呼ばれる蜃気楼です。いずれも実像の下に虚像が鏡のように見えており、左の「だるま朝日」にはこんな説明がされています。
「通常、光はまっすぐ進みますが、密度の異なった空気を通ると光は曲がって進みます。空気の密度は主に気温によって決まるため、陸上で十分に冷やされた空気の層と、比較的暖かい海面付近の空気の層との間で温度差が大きくなると、光が曲げられます。これにより下側にも太陽の虚像が見えることで、日の出時や日没時に丸い太陽が歪んで、だるまのような形に見えるのです。見える時間は数分もない、一瞬の現象です。」
海面付近の空気とその上空の空気の温度差が大きくなることで、光が屈折し下側に虚像が見えることでだるまのように見えるという訳です。こうした蜃気楼を下側に虚像ができるので「下位蜃気楼」と言います。上の2枚の写真はいずれも「下位蜃気楼」ですが、「下位蜃気楼」と「上位蜃気楼」のそれぞれのでき方の違いについては下の2枚の図をご覧ください。
「下位蜃気楼」の場合には海の方が暖かい場合で、実像の下に虚像が鏡のように見えます。これとは逆に海の方が冷たい場合には「上位蜃気楼」となり、下の方が伸びて見えるようになります。「上位蜃気楼」の例を下の写真で示します。
いずれも富山県の例ですが、春に見られる「上位蜃気楼」は、全国的にも珍しく、みられる場所が富山県や大津市などに限定されています。右側の写真は、滑川市で観測されたものですが、富山湾をはさんで滑川市の向いにある射水市の橋が引き延ばされて見えています。この蜃気楼の説明は以下のように書かれていました。
「今日5月15日(土)は、フェーン現象により北陸など日本海側では気温が上がり、30℃を超えている所もあります。そして、この暖かい空気が富山湾の冷たい海上に流れ込み、橋が上に伸びて浮かんでいるように見える”蜃気楼”が発生しました。」
蜃気楼に関しては富山県魚津市も有名ですが、魚津市の博物館のサイトにウエザーニュースとは別な角度からの解説がありましたので、ご紹介しておきます。
冬(11月~3月)の蜃気楼は全国で見られるのに、春(4~5月)の蜃気楼はなぜ富山湾など一部の地域でしか見られないかということについて、「以前は、立山連峰から富山湾に流れ込んだ春の雪どけ水が空気を冷やすと考えられていましたが、近年は、雪どけ水はほとんど関与せず、気温や風の動きが最も密接に関与していると考えられています」とのことでした。また冬の蜃気楼は、「富山湾に限らず全国各地の海岸で見ることができる」とのことですので、冬に海岸に行ったときには注意して見てもらうと蜃気楼に出会えるかもしれません。
以上で蜃気楼のご紹介を終わりますが、最後にトリビアをひとつご紹介して終わりとします。これは隣の机の事務員さんから教えてもらいました。
「大ハマグリを漢字で「蜃」と書きます。昔中国では、大ハマグリが暖かく穏やかな日に欠伸をすると、その吐いた気から空中に楼閣が現れる、「蜃気楼」という気象現象(日本では「貝櫓(かいやぐら)」とも呼ばれる)が信じられたそうです。(公益財団法人 海洋生物環境研究所のHPより引用)」