かんとこうブログ
2024.10.24
ロープウエイはどうやって動かしているのか?
先日清里テラスのリフトについてご紹介した折の約束である、ロープウエイの運転の仕組みについて調べたことをご紹介したいと思います。ロープウエイは、大きな搬器に大勢の人を乗せ一挙に多人数が移動することができる乗りものですが、それだけにその安全性が心配になります。今回調べてみて、多人数を運搬する設備はそれだ念入りに安全性が高められていると思いました。以下ご紹介します。今日の資料は、清里テラスのリフトのところにも出てきた安全索道株式会社と筑波観光鉄道株式会社のサイトより引用させてもらいました。
まずは、ロープウエイの仕組み、具体的には使用しているロープの本数とその内訳からご紹介します。安全索道株式会社(下記URL)の資料です。
実用的には、3線式(3本のロープを使用)または4線式が主に使用されているようです。上の写真の括弧内はそのロープの使用内訳で支索とは、搬器の重量を支えるためのロープ、えい(曳)索とは、搬器を引き上げるためのロープです。上の写真から支索は1本または2本、曵索は2本というのが一般的なようです。
さらに具体的にどのような仕組みロープでそれぞれのを張り、動かしているのかについては、同社のサイトに3線交走式の設備図がありました。(下図)
ただし詳しい説明がないのでなんとなくわかるようでわかりません。そこで他のサイトを探していたら、筑波観光鉄道株式会社のサイト(下記URL)に詳しい説明がありましたので、これをお借りすることにしました。
https://www.mt-tsukuba.com/?page_id=41
この筑波山ロープウエイは4線交走式で、支索を2本、曵索を2本使用して運転する仕組みです。それでは引用した図と説明文で仕組みを説明していきます。
まず搬器を支える支索ですが、上図では13の搬器を支える支索が7と8の二本、14の搬器を支える支索が9と10になります。一本の支索は直径が52mmもあり、仮に搬器に800人の人が乘っても支えることができると書かれています。800人分の荷重とは、ひとり65Kgとして約52トンになります。実際には定員71名ですので、ひとり65Kgとして4.6トンにしかなりません。これに搬器の重量が加わりますが、数値の記載がないので他のロープウエイの例をとると126人乗りの搬器の重量がで8トン程度なので、満員の搬器の重量は4.6+8=12.6トン以下と思われます。つまりその4倍以上の荷重に耐えるだけの強さがあるということです。それがさらにもう1本ありますので、万が一、一本が切断したとしてももう1本で十分支えるだけの強度があるということになります。
この支索は、山頂駅側で固定されていますが、山麓駅側では上図の1~4で示す支索重錐と呼ばれる錘がぶら下げられています。支索重錐は巨大なコンクリ―トの塊で62トンもりあります。これは常に適度な張り具合に保つためです。ロープがたるんでしまえば走行ができません。
さてここまでは割合にわかりやすいのですが、次の曵索とここで初めて登場する平衡索は少しわかりにくいので自分で説明用に搬器の図を描いてみました。下図がそれぞれの役割分担を示すための図です。搬器は滑車を介して支索にぶら下がり移動します。支索は張りっぱなしで巻き上げられたりはしません。巻き上げるのは曵索であり、曵索の一端は搬器の山頂側に固定されています。さらに搬器には曵索の山麓側に平衡索と呼ばれるロープが固定されています。この平衡索の役割は、支索における支索重錐と同じで、平衡索にも重錐が付けられており、曵索に適度な張力を持たせることが役割になります。平衡索がないと風のある時などに安定して山頂方向へ引きげることができないのです。
曵索と平衡索についての細かな仕組みは下図に書かれています。運転する時は、山頂駅にある主電動機を稼働させ、原動滑車で山麓駅側の搬器を引き上げます。巻き上げられた曵索は、原動滑車から反対方向へ送られていき、山頂駅の搬器を山麓駅方向に降ろしていきます。こうした2台の搬器が同時にそれぞれの方向に動くという訳です。
平衡索には支索と同様に山麓駅側でおもり(平衡索重錐)が付けられており、曵索が緩んだりしないように搬器を介して引っ張っています。曵索も平衡索もそれぞれ直径28mmと24mmもあり十分な強度があります。そしてこれも2組あるのです。仮に1組に事故があっても動かせるようになっています。りょうど旅客機にエンジンが複数備えられているのと同じです。また曵索を動かす電動機も予備が備えられており、万が一の事態に備えるようになっています。
以上がロープウエイの仕組みの概略です。なかなかよくできていると感心しました。これに比べるとスキー場などで使用されているリフトはロープが1本だけで,、支索も曵索も平衡索もすべての役目を兼ねているのですからその責任は重大ということになります。リフトが比較的地上から低い位置を運行しているのはそのあたりのことが理由かもしれませんね。