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かんとこうブログ

2024.10.17

15年半のグラフから見えるもの・・確報の出荷数量推移

昨日経産省の8月度結果をご紹介した折に、「8月の出荷数量がリーマンショックの際の最低出荷量を下回った」と書きました。ここまでは確認して書いたのですが、さらに「おそらく月の出荷数量としては、リーマンショック以降の最低値ではないか」とも書きました。ここは調べもせずに書いたので、気になって調べてみると間違いであることがわかりました。2008年以降の15年半のグラフを描いてみると、また別なことが見えてきました。今日は塗料業界にとって重要な4つ意味があると思われる4つのグラフをご紹介したいと思います。データはすべて日塗工の統計数値から引用しています。

最初は塗料出荷数量の推移(単位トン/月)です。

2024年8月の出荷数量は109,409トンでした。2008年以降で顕著に低い月を選んで数字を書いておきました。まずリーマンショックから半年経過した2009年2月の114,100トン、東日本大震災直後の119,700トン、コロナ禍最初の緊急事態宣言直後2020年5月の105,069トン、2023年1月の第8波襲来時の111,636トン,今年1月の108,408トンです。110,000トンを下回るのはこの8月で3回目となりますが、今年の2回については特に大きな要因がなく、全体に減少傾向の中での振れ幅による極小値であるように思われます。つまり特定の大きな要因がないにもかかわらず季節的要因等で数量が少なかったということではないかと心配しています。

以上が出荷数量についてのコメントです。水色の線を入れておきましたが、これは数学的に処理をして描いたものではなく、私の主観で描いたものです。ですが、見事に全体の傾向を表しているような気がします。2019年の消費税増税以降、コロナ禍もあってか、いやコロナが5類に移行した後も数量の減少傾向は止まりません。塗料業界では、リーマンショック前と後という視点で物事が語られることが多かったように思いますが、これからは2019年の消費増税、もしくはコロナ禍を基準としてその前後で語るべき状況ではないかということです。

出荷数量から同業者向け出荷を除いた純出荷数量についても同様な状況です。(下図を参照ください)

2019年の消費税増税以降、緩やかな減少傾向が続いており、今年の1月と8月は95,000トン台と低い数字になっています。一方同業者向け出荷数量(出荷数量から純出荷数量を差し引いた量)もまた、興味深い線を描いています。

何となく、同業者向け出荷数量は増加していると思っていましたが、これも2019年あたりで状況が変化して減少傾向にあります。全体が減少傾向にあるので当たり前という見方もありましょうが、同業者向け出荷数量を全体の出荷数量で割った同業者向け出荷比率も同業者向け出荷数量の推移とほぼ同じであり、2021年以降は同業者向け出荷も減少傾向にあると言えます。

以上2008年以降の出荷数量について考察してきました。2019年の消費増税とコロナ禍を経て、塗料の需要構造が変化してきていると見るべきではないかと思っています。

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