先ごろ、清里・蓼科へ小旅行をしましたが、最後に訪れた御射鹿池(みしゃがいけ)についてご紹介したいことがたくさんあり、TOPページのスペースがでは足りないので、ブログ欄に一日分のスペースをもらってご紹介することにしました。
まず御射鹿池がどんな池であるのか、ですが、これは御射鹿池の前に建てられている茅野市観光協会が立てた掲示板から引用してご紹介します。
「御射鹿池」は農業用のため池で、農林水産省の「ため池百選」にも選ばれています。東山魁夷が描いた「緑響く」のモチーフとなり、テレビCMなどで話題となりました。水質としては酸性が強く魚は生息できませんが、そのことから透明度は高くなっています。水面が穏やかな時には、鏡のように周辺の風景が映り込み、神秘的な雰囲気になります。」
農業用水の池と聞くと香川県のように水が不足してと思われがちですが、この場合には山からの雪解け水があまりにも冷たいので、ここで一旦蓄えて温度をあげることが主目的だったそうです。
上の文章の中で東山魁夷の「緑響く」という絵とそれをモチーフとしたCMのことが言及されていますが、これを次にご紹介します。
「緑響く」は長野県立美術館に所蔵されています。東山魁夷記念一般財団法人のホームページから引用させてもらいます。
緑響く - 東山魁夷記念一般財団法人 (higashiyama-kaii.or.jp)
この絵には作者自身が語った次のような言葉が付されていました。(引用元は絵画と同じです。)
「一頭の白い馬が緑の樹々に覆われた山裾の池畔に現れ、画面を右から左へと歩いて消え去った——そんな空想が私の中に浮かびました。私はその時、なんとなくモーツアルトのピアノ協奏曲の第二楽章*(最後の追記参照ください)の旋律が響いているのを感じました。
おだやかで、ひかえ目がちな主題がまず、ピアノの独奏で奏でられ、深い底から立ち昇る嘆きとも祈りとも感じられるオーケストラの調べが慰めるかのようにそれに答えます。 白い馬はピアノの旋律で、木々の繁る背景はオーケルトラです。」 『東山魁夷館所蔵作品集Ⅰ/信濃新聞社』
これを読んで再度絵を眺めるとピアノの旋律が聞こえてくるような気持ちになりませんか?
そしてこの美しい絵はテレビのCMにも使用されました。吉永小百合さんが出演しているシャープのAQUOSのCMです。G線上のアリアと落ち着いた吉永さんの語り口をバックに御射鹿池の絵と映像が流れていく美しいCMです。「緑響く CM」で検索すればすぐに見つかりご覧いただけると思います。
以上を頭に入れてもらったうえで実際に撮影した写真をご覧いただきたいと思います。
なんだか色褪せてると言われる点は重々承知で無修正の撮影写真を掲載しました。今の季節は紅葉が始まっており、見た目にも鮮やかな緑ではなくなっています。
少し引いてとると印象は多少はマシになりますが、緑は濃くなりません。単なる風景写真としてみれば、さほど悪いとも思いませんが、期待値が高いと評価は厳しくなります。事実、ネットで「御射鹿池」で検索すると「ガッカリ」という書き込みも結構あります。写真は天候や季節、時刻などに左右されるので、いつ行っても「緑響く」のような写真が撮れるわけではないようです。
とは言え、せっかく期待して読んでいただいた方にには申し訳ありませんので、「茅野観光NAVI」(下記URL)より写真をお借りして「緑響く」のイメージに近い写真をお見せしたいと思います。
さすがにこの写真であれば「緑響く」のイメージと重なりますね。なんとかこの一枚でご容赦いただければと思います。
(追記)
*今日のタイトルにも入れたこの曲名ですが、実はいつも色のことで教えを乞うている元関西ペイントの中畑さんから、不完全情報であると指摘がありました。正しくはピアノ協奏曲23番の第二楽章」K488だそうです。オリジナルから引用が繰り返された過程で協奏曲の番号が抜けてしまったようです。この正しい情報は以下の接続先から見ることができると中畑さんから教えてもらいました。参考までに追記させていただきました。