かんとこうブログ
2024.10.29
政党交付金をもらえる政党とその条件
日曜日に行われた衆議院選挙は、自公連立与党が過半数割れという結果となりました。この結果も大方の予想を上回ることだったかもしれませんが、もっと意外だったのは、翌日の株価が上昇したことでした。政権与党が選挙で負けて株価が上がるなどという話は聞いたことがありません。為替の影響があったとは言え、与党が負けた方が景気が良くなると考える人が多いのでしょうか?選挙後多くの情報がネットで飛び交いましたが、その中で今回の選挙の結果、日本保守党が政党助成の要件を満たし、政党交付金を受けることになったという情報がありました。どの政党でもすべからく国から助成を受けられるわけではなく、助成を受けるには条件があるようです。
助成の対象となる政党は次のいずれかの条件を満たす必要があると定められています。
(1)所属国会議員5人以上 または 〈2〉国会議員1人以上で直近の衆院選または最近2回の参院選のいずれかで得票率2%以上
(2)がわかりにくいのですが、これは参議院の選挙は半数ずつ2回に分けて3年毎に行われることに配慮しているためで、直近の選挙である衆議院選挙と2回の参議院選挙における得票率が2%を超えればよいとしているのです。ただし、法人格を取得していない政党は助成の対象にはなりません。こんなにややこしい条件にしなくても単に直近の選挙1回の結果だけでも良さそうなものです。極端な話、1回参議院選挙で国会議員の当選と得票率2%を上回ればその後6年間に行われる選挙で要件を満たさなくても助成を受けられることになります。
今回日本保守党は、議員3名が当選し得票率が2%を超えて要件を満たしました。これで助成要件を満たした政党は以下の10党になりました。自民党、立憲民主党、日本維新の会、国民民主党、公明党、れいわ新選組、共産党、参政党、日本保守党、社民党 (この中で日本共産党は交付金を受け取っていません)
政党交付金は、毎年の1月1日に人口に250円を乗じた金額を国会議員の数に比例配分されます。令和2年の国勢調査で計算すると約315億円になるそうです。年4回にわけて支給されますが、国政選挙があるたびに基準日を設けて配分を見直すことになっています。
定数は衆議院465人、参議院248人ですので、合計713人になります。単純に割り算すると交付金は議員ひとりあたり約4430万円になります。これは議員の給与・歳費とは別勘定ですので、念のため。
先ほどの助成要件は政治資金規正法の対象となる政党要件と全く同じですので、助成をうけることは、政治資金規正法の対象となるということになります。そこで政治資金規正法の概要についても説明しておきたいと思います。政治資金規正法の概要を下図に示します。
この法律の目的は、要約すると、政治団体の機能や候補者の責務が重要なので、団体や候補者が行う政治活動が国民の不断の監視のもとに行われるため、政治資金の授受や収支を明らかにすることで、民主政治の健全な発達に寄与するのであると高らかに謳いあげています。とは言え、規正するための基本的な考え方に書いてあるのは当たり前のことです。別段国からの助成を受ける受けないに拘わらず、税金のための所得申告では当たり前のことばかりです。この法律の解説書(上図の出典)には(参考)として領収書を付すべき金額基準の表がついていますが、領収書を添付すべき金額は結構大きな金額です。(下表)
ざっくり言えば対象団体によって異なりますが、1万円超または5万円以上となっています。問題となったパーティ券の公開基準を7月以降20万円から5万円に下げましたが、それでも”ざる”のそしりは免れないと思われます。なぜ1円から領収書を要求しないのか、崇高な政治活動だから、そうした細かなことはしなくてよいのか・・・このような免責金額があることが理解できません。