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かんとこうブログ

2025.02.12

日産自動車とホンダの比較

先週、ホンダと日産自動車の統合・提携について、ホンダが日産自動車を子会社化する提案を行い、日産側はそれを受け入れない見通しだと伝えられました。この背景には、日産自動車の財政状況が逼迫しており、かつ統合にむけての日産側の提案の中に、役員の交代や工場の閉鎖と言った抜本的な経営再建策が盛り込まれておらず、迅速な意思決定のできない会社とはやっていけないというホンダ側の判断があったと言われています。

この両者、2024年(1月~12月)の生産台数ではさほど差はなく、対等に統合するというのも郁子(むべ)なるかなと思えますが、日産の財政状況が逼迫しているというのはあまりピンときていませんでしたので、わかる範囲で調べてみました。といっても私がわかる範囲というのはせいぜい決算短信か有価証券報告書の類ですので、たいしたことはできません。調べてみると現在2025年3月期第3四半期の発表時期であり、日産も明日発表予定なのですが、おそらく第3四半期の結果は、第2四半期に比べてさらに悪化していると思われましたので、あえて第2四半期の結果で比較してみました。下表をごらんください。

まず販売台数と生産台数ですが、ホンダの方がやや多いものの規模的には変わりません。しかし、第2四半期の決算を見ると大きな差があることが一目瞭然です。日産は前年比が大幅マイナスで、特に利益は風前の灯状態です。1株あたりの利益では、約20倍の差があります。

総資産、純資産でみてもホンダは総資産で約1.5倍、純資産で約2倍、自己資本比率でも上回ります。2025年3月の決算見通しでも、営業利益は約10倍になる見通しです。

一方株式の観点からも比べてみました。これは簡単に調べられますので、自動車7社の数値も一緒に載せています。

株式においては、会社の価値を評価するのに時価総額が使用されますが、ここでもホンダは日産の5倍近くもあり、株価も高く、株価収益率から計算した1株当たり利益も約5倍あります。時価総額で言えば、ケタ違いのトヨタについで、ホンダ、スズキ、スバル、日産の順になります。

ここでの1株当たり利益は最初の表と数値が異なりますが、最初の表はあくまで2025年3月期の第1四半期と第2四半期だけの純利益から計算しているのに対し、この表では直近1年間の利益から計算しているようです。(決算短信では前年同期の1株当たり利益が75.64円となっていました)このことは日産の経営状況が2024年度に入り極度に悪化してきていることを示していると思います。

また株主にとって気になる配当の利回りも、2025年3月期の配当は未定となっているものの、第2四半期での配当同様見送られる可能性が高いと言われています。

あくまで対等の立場でも事業統合を主張していた日産ですが、両者の現時点での稼ぐ力の差は歴然としているようです。事業統合を図る理由のひとつ将来の技術開発への対応強化については残念ながらこれを語る能力がありません。この統合話にゲームチェンジャーが現れるとすれば、追随を許さぬ革新的技術でしょうが、今のところそれは見えないように思います。

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