かんとこうブログ
2025.04.03
過去の山火事と降雨量
3月16日に大船渡の山火事についてその燃え広がり方や降雨量についてご紹介しました。その中に消失地域に降った雨の量を計算しているのですが、計算間違いをしておりました。3月16日の記事の方はすでに訂正してありますが、お詫びもかねて、その後の岡山、今治の山火事も踏まえて山火事と降雨量について調べたことをご紹介したいと思います。
林野庁のサイトに近年の山火事についてまとめたサイト(下記URL)がありました。前半はこの内容を引用させてもらいます。
https://www.rinya.maff.go.jp/j/hogo/yamakaji/con_1.htm
まず最近の全国の山火事の件数と消失面積です。
毎年山火事は1200件以上起きています。消失面積は平均で705haです。今回の大船渡の山火事の消失面積は2900haでしたので、大船渡の山火事だけで通常の4年分が消失したことになります。
上図は第二次世界大戦終了後から現在に至る山火事の件数です。昭和40年代をピークに減少傾向にありますが、ここ10年ほどに限定すれば横ばい状態です。次に季節的な発生件数の偏りを示します。
山火事は1月から5月にかけて頻発することが明らかであり、その原因は気象的、自然条件的理由と人為的理由の両方があります。先ほどの山火事発生件数が昭和40年代をピークに減少しているのは主に人為的な理由によるものではないかと推定しています。
さてここまで山火事についてみてきました。大船渡の山火事が鎮火したあと岡山と今治の2か所で山火事が発生しました。この2件の山火事も懸命の消火活動にもかかわらず、なかなか鎮圧できず、大船渡同様に降雨によって鎮圧~鎮火の経過をたどっています。今回の岡山、今治の両地区の降雨量を調べてみました。大船渡とともに3地区の1月以降の降雨量を示します。
両地区ともほぼにたような降雨量となっています。大船渡に比べれば、2月の始め、3月の始め、中ごろと3回にわたり10mm以上の降雨がありましたが、それだけでは山火事の発生を抑止するにはいたりませんでした。山火事が発生した23日以降でみると27日から28日にかけて、それぞれまとまった雨が降り、結果的にこれが山火事を鎮圧に導きました。
大船渡も含めて鎮圧導いた降水量は、岡山が21.5mm、今治が28.5mm、大船渡が27.5mm(2日間連続降雨があった場合は2日間の合計値を降雨量とした)でした。これらから類推すれば、20mm以上のまとまった雨がふれば山火事の鎮圧に有効であるらしいということになります。
そこでさらに過去の山火事についても、その鎮圧に雨が貢献したのかどうかを調べてみました。主な山火事については先ほどの林野庁のサイトに一覧表がありました。
このリストは、主に避難勧告がだされたかどうかがポイントになっているらしいのですが、この中から比較的焼失面積が大きかったものを選び、その当時の降雨量を調べてみました。結果を下表に示します。
これら9件のうち黄色く色づけした5件は、鎮圧時期と降雨の関係からどうやら降雨が鎮圧に導いたのではないかと思われるものです。この5件の降雨量を見ると、今年の大船渡、岡山、今治のケースよりももう少し多い場合が多く、30mmもしくはそれ以上が4件でした。なお、火災継続期間については、1件ずつ詳細を調べた結果を書いております。
一方で山火事の鎮圧に雨が貢献していないケースも4件ありました。これらは消火活動の賜物だと思われます。仮に100haの面積に対し、20mmの水を均一に撒いたとき、水の総量は20000トンになります。たかが20mmですが、大きな面積ではとてつもない量の水が地上に降り注ぐことになります。雨の効果は偉大です。
こうした20mm以上の雨の頻度は、しかしながら、特に冬季はそれほど高くありません。今後温暖化が進むと、降雨についても一層偏在化するといわれています。山火事対策として人工降雨が利用できるような日がくればと思います。