かんとこうブログ
2025.06.19
Gender Gap Report 2025の詳細・・女性大臣減少で政治参画が大幅後退
今年もGender Gap Reportが発表されました。昨年は世界の118位と一作年の過去最低から少し準員を挽回しましたが、今年は昨年と同順位で挽回はなりませんでした。今年もメディアではあまり公表されていないスコアの詳細についてご紹介していきたいと思います。データは世界経済フォーラム(下記URL)からの引用です。
https://reports.weforum.org/docs/WEF_GGGR_2025.pdf
このランキングは経済的参画・機会、就学(教育)、健康・寿命、政治的権限の4つのカテゴリーのスコアを単純合計して4で割った数字を総合スコアとしてランキング化したもので、この4つのカテゴリーのうち就学(教育)と健康・寿命は多くの国のスコアが1.0に近く差が僅少です。従ってランキング順位は経済と政治のカテゴリーで決まると言っても過言ではありません。下の一覧表を眺めていただくとそのことが理解されると思います。
右端の欄が総合スコアです。G7中で日本が最下位であることは変わりません。このGender Gap解消は伝統的に欧米が進んでいて、他の地域が遅れているイメージがありますが、地域別に見るとやはりそのイメージ通りになっています。(下図)
アジアの中では、フィリピンがずっと最高順位を保持しており、今年も世界の20位と健闘しています。韓国、中国、インドといったアジアの大国も3桁順位であり、日本含め下から数えた方が早い順位となっています。
さて、日本が以前からランキングで非常に低い順位にいるのは冒頭書いたように経済と政治のスコアが低いためですが、では具体的にどのような項目でどのようなスコアであったのかを見てみたいと思います。
さきほどご紹介した4つのカテゴリーのなかにはさらに細かな項目があり、それぞれのスコアについてあらかじめ重みづけの係数をかけて集計しそれぞれのカテゴリーのスコアが計算される仕組みとなっています。
この経済的参画・機会については、5つの細目がありますが、いずれも順位は80位以下で低い順位となっています。中でも議員、高級官僚、会社役員における女性割合の項目が男性に比べて19.2%と低いスコアになっており、これが全体のスコアと順位を下げています。最も高いスコアは技能職、技術職における女性比率であり男性に対して9割を超えています。そしてずっと以前からの課題でもある収入の男女格差も。やや改善されたとはいえ6割程度という状況です。
続いて就学(教育)と健康・寿命です。この2項目は順位はともかく、スコアとしてはかなり高いスコアであり、全体のスコアに対しても貢献こそすれ足を引っ張るようなことはありませんので、スルーしておきます。
日本にとって一番の問題は、政治的権限です。
ここは細目が3つしかありません。しかもきわめて限定されて地位における女性比率のみを問うていますので注意が必要です。政治的権限は次の3つの男性に対する女性比率で決まります。一番目は衆議院議員、2番目は大臣、3番目は(過去50年間における)総理大臣です。これだけです。昨年から見ると女性閣僚が減少したことによるマイナスが、衆議院における女性議員の増加のプラスを消してしまいました。また総理大臣については、過去50年間の女性比率を問われますので、一挙に大幅改善することは無理ですが、昨年の自民党で高市候補が決戦投票に残ったことを思えば少しは前進の気配がなかったわけでもありません。最も容易にこのGender Gap 指数を改善するには女性閣僚を増やすことだと以前書きましたが、まさにそのことを実感させる今回のレポートでした。
4つの項目とそれぞれの細目に対する日本のスコアをグラフにまとめました。両方のグラフから、日本の課題は経済と政治における男女格差でありことが一瞥して理解されると思います。
以下本報告書の日本に関する記述です。これまで書いたことと重複してますが、掲載しておきます。
Gender Gap 指数を一朝一夕に大幅アップさせることは無理ですが、少ずつでも前進していくことを期待したいと思います。