かんとこうブログ
2025.07.30
IEAの「電力2025」レポート
世界エネルギー機関(IEA)は、エネルギーに関する様々な情報を発信していますが、「電力2025」(下記URL)の発行通知が来ましたので、のぞいてみました。気になったところだけでもご紹介したいと思います。
https://www.iea.org/reports/electricity-2025
まず世界におけるエネルギー源別発電量(TWh)の推移をご紹介します。
世界ではこのところ、再生可能発電の増加が目覚ましく、電力需要の増加の多くを再生可能発電で吸収できる見通しとなっています。上左図では他のエネルギー源に比して緑色の再生可能エネルギーの伸びが多いことがわかります。
2014年を100とした指数では、再生可能発電は2025年で指数値が200を超えていますが、一方で石炭は108、原子力は115、天然ガスは131に留まっています。
さらに詳しく年度別の発電量の増減のエネルギー源内訳(下図)をみると、再生可能発電の伸張ぶりがよくわかります。特に2025年以降の予測では、電力増加のほとんどを再生可能発電が担っています。
ところで電力需要の増加には異変が起きています。それはこれまで減少を続けていた先進国の電力消費が、2025年以降増加に転じるということです。下図をご覧ください。2021年からの3年間、2025年からの3年間のぞれぞれの電力消費の増加を示したものですが、先進国が一転して増加に転じているのがわかります。
この先進国の増加については、「先進国の電力消費量は、過去15年間の傾向に逆らって、経済成長とともに大幅に増加し始めると予想されている。これは、電気自動車、エアコン、データセンター、ヒートポンプなどの最終用途技術の導入による消費の増加が原因とされている。」と説明されています。
さらに発電に必ずついてまわる二酸化炭素の揮散問題ですが、世界の地域ごとの発電によるCO2排出量の推移は以下のようになっています。下左図では、世界の排出量推移と中国の排出量推移がほぼ平行の位置関係にあり、中国の影響が大きいかがわかります。ただし世界全体では、発電によるCO2排出は、2025年以降は増加しないとみられています。
最後に価格情報をご紹介します。2024年では前年から大幅に価格が下がりました。しかしながらコロナ禍以前と比べるとまだ大幅に高い価格であるとされています。何よりも下図が明らかに示しています。
以上ご紹介してきたように、電力需要は先進国でも再び増加の傾向にありますが、それらも含め世界の増加分はほとんどが再生可能エネルギーの増加分で吸収できそうです。また発電によるCO2排出量も2025年以降は世界で増加しないと予想され、CO2原単位も下がってきました。しかし、まだまだカーボンニュートラルには程遠い状態であり、さらに電力価格もコロナ禍前よりも大幅に高い状態となったままです。さらに世界中が努力を継続する必要があります。トランプ大統領にも認識を変えてもらう必要があります。