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かんとこうブログ

2025.11.28

サブクレードKについて

先週土曜日にご紹介したようにインフルエンザが大流行中です。そしてそのウイルスがサブクレードKが主体であると報じられました。今日はそのサブクレードKについて調べたことをご紹介します。

そもそもインフルエンザにはA型、B型があり、さらにA型はH〇N〇というように種類分けされていますが、ここから説明を始めたいと思います。サブクレードKというのはその分類の先の話だからです。

インフルエンザはA型とB型があることは耳にしたことがあると思いますが、実はC型もあります。ただこのC型は5歳未満の幼児限定で症状も普通の風邪程度なので忘れていただいてもよいようです。一方A型とB型は感染力も強く抗体もできにくいのですが、A型が変異を起こしやすく、かつ症状も急に発熱するなど重篤になりやすく大流行(パンデミック)が起きる可能性があります。また亜型が144種類と多く存在しており実に厄介なウイルスです。(下表)

https://life-info.link/influenza-type/ より引用

   

A型亜種の144種類は、H(ヘマグルチニン)16種類 とN(ノイラミニダーゼ)9種類の組み合わせを指しています。ヘマグルニチンとノイラミニダーゼについては後で説明しますのでここでは、ウイルスを特徴づける因子と思ってください。かつて大流行した香港型はH3N2、ソ連型はH1N1であることがわかっています。

   

このようにA型ウイルスをHとNで分類している理由は、このHとNというたんぱく質が感染において重要な働きをするためです。すなわちH(ヘマグルニチン)は宿主となる細胞に取り付く役目を、N(ノイラミニダーゼ)は宿主の細胞内で増殖したウイルスが細胞外へ出る際に必要な役割を、それぞれ果たしているからです。この役割については後で詳しく解説します。

さて今回のサブクレードKは、HとNの分類いうとH3N2型ということになりますが、これまで発見されているウイルスからはH(ヘマグルチニン)に変異が起きています。このサブクレートKについての解説は、現役呼吸器内科専門医さんのサイト「note」(下記接続先)から引用させていただいています。
   
   
先ほど「H(ヘマグルチニン)に変異が起きている」と書きましたが、この変異については抗原シフト(大変異)と抗原ドリフト(小変異)があり、今回の変異は小変異の方であり、例えていえば犯人の顔は変わらぬままサングラスなどで変装しているようなものと説明されています。大変わかりやすい喩えだと思います。
  
さてこのサブクレードKですが、感染力は相当強く世界を席巻しているようですが、重症化リスクについては、幸いにも「毒性が強まったというデータは報告されていない」とのことです。ただし、学級閉鎖など社会的なインパクトは大きいということになります。
   
となるとこのままサブクレートKがまん延し、コロナ禍のような状態になるのでしょうか?それについては、ワクチンの真の価値が発揮されると説明されています。引き続き、「note」から引用させていただきます。
   
  
要約すれば、「ウイルスの外見が変わってしまっているので、抗体(B細胞)が細胞内侵入を防ぐ効果は落ちるであろうけれども、細胞性免疫(T細胞)はウイルスの外見ではなく内部を見て処理するのでウイルスの増殖を防ぐことはできる。このため「重症化・入院」と言った事態は防ぐことができる」ということです。
   
さてここまでで、サブクレードKについて当面しりたいことは理解できたのではないかと思います。ここからは、ヘマグルニチンとノイラミニダーゼの役割について詳しく見ていきたいと思います。興味のある方はお読みください。ODBj入門というサイトに掲載されていたものを引用させていただきました。

https://numon.pdbj.org/mom/76?l=ja

https://numon.pdbj.org/mom/113?l=ja

   

ここに重要な情報があります。インフルエンザウイルスのヘマグルチニンは16種類が発見されていますが、そのうちヒトに感染するのは、今のところH1,H2,H3の3種類のみであるということです。

  

この図はウイルスの侵入過程を示しています。ヘマグルニチンは、標的を探し出し、極めて巧妙な仕掛け(酸性条件下を利用し攻撃部隊を構築する)で細胞に取り付きます。さらにウイルスと細胞の二つの膜を融合させるのです。

   

一方のノイラミニダーゼは、増殖したウイルスが細胞から脱出する時に糖鎖を断ち切ってウイルスの脱出を可能にします。。いくら細胞内でウイルスが増殖したとしても細胞から脱出できなければ感染は拡大しませんので、この脱出過程を阻止するべく、リレンザやタミフルといった抗インフルエンザ薬が開発され世界中で利用されています。

  

(掲載当初、ノイラミニダーゼの作用に関する記述が誤っておりました。11月29日20時33分に訂正いたしました)

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