かんとこうブログ
2026.04.30
経産省速報3月基礎化学品、塗料等の生産、出荷、在庫数量、単価について
本日午前8時50分に経産省から3月度速報が発表になりました。通常は速報についてはあまり注目しておりませんでしたが、今月は違います。ホルムズ海峡封鎖が始まり、溶剤等の供給状況がガラリと変わった月ですので、速報とは言えおおよその市場動向がわかりますので、大注目していました。早速基礎化学品、一部の塗料原料と主要塗料品目について、3月の生産、出荷、在庫、単価についてまとめてみましたのでご紹介します。データの出典は経産省2026年3月度速報です。
基礎化学品、具体的にはナフサの分解成分であるエチレン、プロピレン、ブタジエン、ベンゼン、トルエン、キシレンと塗料の原料となるエチレングリコール、カーボンブラック、メタクリル酸エステル(モノマー)について、3月の生産、出荷、在庫数量について、前年同月比と前月比を表で示します。

ナフサの分解物の3月の生産数量と在庫数量については、前年同月をかなり下回っていました。前月比でも下回っているケースの方が多くやはり輸入ナフサの減少が心配されます。トルエン、キシレンについては、興味深いことに、在庫数量が前年同月、前月を上回っていました。ご参考までに、2025年1月以降のこれらの生産、出荷、在庫数量と単価の推移をグラフで示します。

これら3品目については、明らかに3月時点での単価上昇が認められます。通常トルエン、キシレンはナフサ価格に連動して価格が動きますので、当然の変化と思われます。エチレン、プロピレン、ブタジエンについては出荷金額が示されていませんので、生産、出荷、在庫数量の推移のみグラフで示します。エチレン、プロピレンの在庫数量は極めて少なく実質的に在庫というものは存在していないようです。エチレン、プロピレンは明らかに今年に入り生産、出荷数量が落ち込んでいます。
塗料原料として挙げた3種ですが、月々の推移をみるとエチレングリコールとメタクリル酸エステルモノマーは生産、出荷数量の変動が大きく3月の数量が多いのか少ないのかわかりません。カーボンブラックは安定していますが、3月は出荷数量が増加し在庫が減少しています。
さて塗料の生産、出荷、在庫、単価動向ですが、通常日塗工からもらう速報には、溶剤系塗料の合計と水系塗料の合計を合わせた数値しか載っていませんが、経産省の速報自体には主要な塗料品目ごとの数値が載っておりますので、3月についてはそうした主要塗料品目ごとの生産、出荷、在庫、単価の動向も併せてご紹介します。
まずは品目ごとの3月の生産、出荷、在庫数量の前年同月比と前月比の一覧表からご覧ください。

先ほどの基礎化学品とは逆に、主要塗料品目の多くで生産数量、出荷数量では、前年同月比、前月比とも100%超えが多く、在庫では100未満が多くなっていました。この傾向は3月に特異的なものであることが、時系列変化のグラフからわかります。

すなわち、3月の生産数量、出荷数量が急激にあがり、在庫数量が減少しています。見方によっては、在庫を減らして出荷したとも考えられます。3月の状況を顧みれば、普段よりはるかに多い注文に対し、制限された原材料の範囲で目いっぱい生産しただけでは足りず、在庫からの出荷もあわせ、このような生産数量と出荷数量の増加、在庫数量減少の結果となったのではないかと考えています。
一方、単価についてはグラフからは変化が読み取れません。これは、値上げの時期が実質4月からとなったため、3月出荷分で値上げできたところはほとんどないからではなかったかと考えています。以下主要品目の生産、出荷、在庫、単価についてのグラフを下に示します。3月は、ほぼすべての品目で生産数量、出荷数量が増加、在庫数量が減少しています。





不飽和ポリエステル塗料、厚膜エマルションペイント、および水性樹脂塗料では、生産数量が販売数量を明らかに上回っていますが、他の塗料に比べて純出荷割合が2/3程度と低いため(同業者向け出荷が多い)と推定されます。
3月はこのような状況でした。この先も厳しい状況が続くと思われますが、組合としてできることを探していきたいと考えています。